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- 虫刺されについて
虫刺されとは
虫刺されとは、文字通り、蚊やダニ、ブヨといった虫が人間の皮膚を刺したり、噛んだりすることで生じる皮膚の反応のことです。ほとんどの場合、刺された部分が赤く、かゆいのが特徴ですが、中には腫れる、痛い、水ぶくれができるなど、様々な症状が現れることがあります。
虫刺されの症状は、虫の種類、刺された人の体質(アレルギーの有無など)、そして刺された部位によって大きく異なります。特に小さなお子さんの皮膚はデリケートで、大人よりも症状がひどく現れやすい傾向があります。かゆみが強いために掻きむしってしまい、さらに悪化してしまうことも少なくありません。
虫に刺されたら?虫の種類
お子さんを刺す可能性のある虫は様々です。それぞれの虫の特性を知っておくことで、適切な対処や予防につながります。
蚊(カ)
最も身近な虫刺されの代表格です。刺されると、数ミリ程度の赤い小さな発疹ができ、かゆいのが特徴です。掻きむしると、腫れることがあります。体質によっては、大きく腫れ上がったり、水ぶくれになることもあります。
ダニ(主にイエダニ、ツメダニなど)
ダニによる虫刺されは、主に肌の柔らかい部分や、服で覆われている部分に起こりやすいのが特徴です。特に寝ている間に刺されることが多く、「虫刺されのような発疹」がいくつかまとまってできたり、二箇所並んでかゆい、あるいは3つ並んでるような刺し跡が見られることがあります。刺された部分は赤い斑点状になり、強いかゆみを伴います。水ぶくれがパンパンに腫れることもあります。
ブヨ(ブユ、ブト)
渓流や水辺に生息する小さなハエのような虫です。刺された直後はあまりかゆみを感じないこともありますが、数時間後から腫れるとともに、非常に強いかゆみと痛みが現れるのが特徴です。刺された跡は赤く、硬いしこりのようになることも多く、中心に黒い点が見えることもあります。大きく腫れ、時に熱を伴うこともあります。
ノミ(ネコノミなど)
ペットを飼っているご家庭で注意したいのがノミです。特に足元や、衣類と皮膚の境目など、露出している部分に刺されることが多いです。刺された跡は赤く、強いかゆみのある発疹が、直線状に並んでできることが多いのが特徴です。
その他の虫
アブ、ハチ | 刺されると激しい痛みと腫れを伴います。ハチはアレルギー反応(アナフィラキシーショック)を起こす危険性があるため、特に注意が必要です。 |
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毛虫 | 毛に触れると、赤いブツブツとした発疹ができ、強いかゆみが生じます。 |
ムカデ | 噛まれると激しい痛みと腫れを伴います。 |
虫刺されの治療
虫刺されの治療の基本は、炎症とかゆみを抑えることです。
冷やす | 刺された直後や、かゆみが強い場合は、患部を冷やすことで炎症を抑え、かゆみを和らげることができます。冷たいタオルや保冷剤(直接皮膚に当てず、タオルなどで包む)を使用してください。 |
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かゆみ止め | 市販の虫刺され薬として、かゆみ止めの成分が含まれた軟膏やクリームがあります。当院では、強力レスタミンコーチゾンコーワ軟膏を処方しています。しかし、お子さんの場合は、掻きむしって悪化させないためにも、炎症をしっかり抑えることが重要です。 |
ステロイド外用薬 | 炎症が強い場合や、腫れがひどい場合には、ステロイド外用薬が効果的です。当クリニックでは、お子さんの症状にあわせて、適切な強さのステロイド外用薬を処方いたします。例えば、リンデロンやロコイドなどは、症状に合わせて使い分けることがあります。リンデロンVGは抗生物質が配合されているタイプで、炎症が強く、二次感染の可能性がある場合などに処方することがあります。 |
抗ヒスタミン薬の内服 | かゆみが広範囲に及ぶ場合や、夜間に眠れないほどかゆみが強い場合には、内服のかゆみ止め(抗ヒスタミン薬)を処方することもあります。 |
二次感染の治療 | 掻きむしった傷口から細菌が入り、膿が出たり、とびひ(伝染性膿痂疹)になったりすることがあります。このような場合は、抗生物質の外用薬や内服薬が必要になります。抗生物質を含んだ軟膏を処方することもあります。 |
漢方薬 | 腫れがひどい場合、腫れやむくみを軽減させる漢方薬(越婢加朮湯)を処方することもあります。 |
跡が残らないようにするためにも、早めに適切な治療を行うことが大切です。特に、しこりのように残ってしまったり、色素沈着を起こしてしまったりすることもあります。
ご自宅で注意いただくこと
お子さんが虫に刺されてしまった際、ご家庭でできるケアと注意点をお伝えします。
掻かせないようにする | これが最も重要です。掻きむしると、皮膚のバリア機能が壊れて炎症が悪化したり、細菌が入り込んで蜂窩織炎やとびひなどの二次感染を起こすリスクが高まります。お子さんが無意識に掻いてしまう場合は、爪を短く切る、手袋をさせる、患部をガーゼなどで覆うなどの工夫をしてください。 |
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清潔に保つ | 刺された部分を清潔に保つことで、二次感染を防ぐことができます。優しく石鹸で洗い、清潔な状態を保ちましょう。 |
冷却する | かゆみや腫れが強い場合は、濡れタオルや冷やしたシートなどで患部を冷やしてあげると、症状が和らぎます。刺された部分を冷やすことは、応急処置として非常に有効です。 |
衣類での保護 | 特に夏場は、できるだけ長袖や長ズボンを着用し、肌の露出を減らすことで、虫に刺されるリスクを下げることができます。 |
虫よけ対策 | お子さんの肌に優しい成分の虫よけスプレーやシールを使用しましょう。汗をかいたら効果が薄れるため、こまめに塗り直すことが大切です。特に公園やアウトドアに出かける際は、肌だけでなく、ベビーカーや抱っこ紐などにも使用すると効果的です。 |
受診の目安
- 何の虫に刺されたかわからないが刺された部分が気になる。
- 刺された部分の腫れが大きい、ひどい、真っ赤で範囲が広い。
- 虫刺されによって水ぶくれができた、それが破れた。
- 膿が出ている、芯があるように見える。
- 掻きむしってジュクジュクしている。
- 数日経っても改善が見られない、または悪化している。
- ハチ、ムカデなど、毒性の強い虫に刺された。